リサーチ・アイ No.2025-099 証券口座の不正利用増加を受けたガイドラインの見直し ~セキュリティ対策強化による個人投資家や証券会社への影響を要注視~ 2025年10月16日 谷口栄治本年入り後、フィッシングサイト等通じて窃取された証券口座情報(ログインID、パスワード等)を悪用した不正取引(証券口座乗っ取り)が多発。1~9月累計で、不正取引件数は約9,000件、不正売買額は約6,900億円に拡大。こうした被害を受けて、本年10月、日本証券業協会は、インターネットでの証券取引における不正アクセスの防止を目的に、それぞれガイドライン(指針)を改正。ログイン、出金、出金先銀行口座変更時に、フィッシングに耐性のある多要素認証(パスキー認証(生体認証等))を必須の対応とする方針。証券会社では、大手証券やネット証券を中心に、各社の約款等の定めに関わらず、一定の被害補償を行っているほか、セキュリティ強化のために生体認証等のパスキー認証を導入する動きが拡大。個人投資家の株式取引状況をみれば、若年層のみならず、高齢層でもネット取引が主流。本件を受けた対応にとどまらず、今後もサイバーリスクが高まることを踏まえれば、継続的なセキュリティ対策が不可欠。取引時の認証手続きが増えることによる投資行動への影響や、システム投資負担増大に伴う証券会社業績への影響等を注視する必要あり。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)