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リサーチ・アイ No.2025-092

次期政権が進めるガソリン減税の問題点と求められる取り組み ― ガソリン価格抑制だけでなく、燃費向上を通じた負担軽減が重要 ―

2025年10月03日 栂野裕貴


10月4日投開票の自民党総裁選では、物価高対策として全候補者がガソリンの暫定税率廃止、一部候補者が軽油を含む暫定税率廃止を公約(以下、ガソリン減税)。暫定税率は74年に道路特定財源確保の臨時措置で導入、度々延長され、道路特定財源廃止後も一般財源化して継続。10年には油価高騰時に停止するトリガー条項が導入され、税制がさらに複雑化。

もっとも、ガソリン減税は物価高対策に不向き。減税効果はガソリン購入世帯に限られ、所得差・地域差があるなど公平性に欠け、物価高に苦しむ世帯を重点支援できず。たとえば、高所得世帯は低所得世帯の2倍、鳥取市の世帯は東京都区部の世帯の5倍の効果。物価高対策としては、低所得世帯や中小企業等に的を絞った給付などがより効果的。

また、ガソリン減税の財源も不明瞭。暫定税率からの歳入は年1.5兆円に上り、5千億円は地方の財源であり、代替財源が不可欠。しかし、今回の総裁選では、財源の議論は乏しい。

ガソリン減税はわが国のGX戦略にも逆行。たとえば、高燃費車の普及策はガソリン代負担軽減とGXを両立可能。試算では、わが国全体として平均燃費を3km/L改善させれば、暫定税率廃止相当の負担軽減に。暫定税率廃止は複雑な税制の簡素化策としては一理あり。ガソリン減税を実施する際には、赤字国債に頼らない財源を確保するとともに、GX推進等も踏まえて、中長期的な観点でのエネルギー・自動車関連税制の改革につなげていくべき。


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