リサーチ・アイ No.2025-080 関西の製造業生産弱含みの背景を探る―中国経済減速に加え、アジア市場での競争激化が重石にー 2025年08月20日 西浦瑞穂関西の鉱工業生産は全国対比で弱い動き。業種別にみると、①自動車の押し上げ寄与がないこと、②電子部品・デバイス、機械、鉄鋼など、総じて全国に比べ下振れ幅が大きいこと、を看取。輸出額を国・地域別にみると、関西は全国に比べて中国向けやその他アジア向けのウエートが大。そのため、近年の中国経済の減速による下押し圧力をより強く受ける格好に。また、その他アジア諸国の輸入動向をみると、海外製品との競争が厳しさを増すなか、わが国の輸出製品のシェアは趨勢的に低下。アジア向け輸出のウエートが大きい関西では、アジア主要国における輸入の伸び悩みと相俟って、負の影響が相対的に大きく顕在化。加えて、電子部品・デバイスについては、政府による研究開発支援や立地補助金などによる大規模生産拠点の誘致が実現した地域で生産が相対的に好調である一方、関西は、AI関連など新たな需要を十分に取り込めていない可能性も。先行き、トランプ関税を機に関西の製造業生産には下押し圧力が一段と高まるリスク。すなわち、中国は、米国の高関税政策による対米輸出の減少分を、ASEANやインドを始めアジア新興国向けの輸出に振り向ける動きを強める公算が大きく、中国の輸出品との競争が激化する恐れ。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)