リサーチ・フォーカス No.2025-029 インドにおけるAI(人工知能)活用の現状 2025年08月04日 熊谷章太郎中長期的にAI(人工知能)大国になることを目指すインドは、近年、AIの開発や普及に向けた取り組みを加速すべく、「IndiaAI Mission」を含め、様々な施策を打ち出している。それを受けて大学や企業によるAIの研究開発が活発化し始めており、各方面のインドに対する関心も高まっている。AIが応用可能な分野は多岐にわたるが、インド政府が特に重視しているのは、農業、医療、教育、公務・国防など、公共性の高い分野である。これらはAIによる生産性の向上余地が大きいことに加え、経済格差の縮小や財政健全化などの観点からも重要な分野である。政府はこれらの分野におけるAIの活用を推進しているが、①英語以外のインド公用語のデジタルコンテンツが限られること、②医療・教育などに関わる情報のデジタル化が途上にあること、③AIに関する法整備が途上にあること、④低所得者層のデジタルリテラシーが限られていること、などが速やかなAIの開発と普及の制約要因になる可能性には留意が必要である。AI分野の日印連携はまだ限られているものの、複数の日本企業が日本政府の補助金を活用して、インドでAIを活用した農業・医療関連サービス事業の実証実験を実施するなど、一部では前向きな動きが見られる。また、米国が移民や学生の受入規制を厳格化する一方で、日本がAIを含む先端技術分野を研究するインド人学生・研究者の呼び込みに向けた補助金制度を拡充するなど、今後、日印のデジタル人材の交流が拡大する機運も高まりつつある。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)