JRIレビュー Vol.7, No.125 関西経済見通し 2025年07月31日 藤山光雄、西浦瑞穂関西経済は、緩やかな回復基調を維持しつつも、一部に弱い動きがみられる。先行きを展望すると、企業部門では、関西の自動車生産や輸出が相対的に少ないため、全国に比べトランプ関税の影響は限定的にとどまると予想される。一方、関西では中国経済への依存度が相対的に強く、中国景気の減速が関西の輸出や生産の重石となり、景気回復の足かせとなる公算が大きい。ただし、設備投資は、引き続きデジタル化や省力化ニーズが下支えとなり、底堅く推移する見通しである。家計部門では、中国景気の減速などを受けた企業収益の悪化を背景に、賃金の伸びが鈍化する公算が大きい。もっとも、人手不足などから名目賃金は高めの伸びを維持するとみられる。先行き物価の落ち着きを受け、実質賃金は前年比プラス圏の動きが定着していくとみられ、個人消費は底堅く推移する見通しである。以上を踏まえると、関西の実質経済成長率は、2025年度+0.3%、2026年度+0.6%になると予想される。内外需ともに下振れ懸念が強く、回復実感の乏しい展開となる見込みである。低空飛行からの脱却の糸口となるのは、ポスト万博の地域経済戦略である。加えて、地域の強みを生かしたものづくりの強化や、増大する観光需要を関西全体で受け止める取り組みが期待される。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)