リサーチ・レポート No.2025-006 【世界経済見通し】トランプ関税に翻弄される世界経済 ~景気後退は回避も、下振れリスクは大~ 2025年06月30日 若林厚仁足元の世界経済は持ち直し。雇用・所得環境は底堅く、インフレ圧力が緩和するなかで消費もプラス基調で推移。業種別では、インバウンド需要がコロナ禍前の水準まで回復するなど、サービス業が好調。一方で、製造業は低調。世界的な財需要の低迷を背景に、日本・欧州などの先進国や中国では設備投資が伸び悩み。加えて、中国の過剰生産によるデフレ輸出が日本や欧州先進国の生産を下押し。一方で、生成AI需要や対中デカップリングによる対内直接投資増を背景に、米国の設備投資・生産は堅調。先行きの世界経済は、トランプ関税の影響により減速すると予想。一時停止中の相互関税上乗せ分の発動が見送られる想定でも、世界の実質成長率は2025年から2026年にかけて3%近傍に低下する見通し。米国は関税の物価影響を見極めた後、2025年後半から利下げを再開すると予想。当面のリスクシナリオはトランプ関税の税率引き上げ。相互関税の上乗せ分が発動された場合、貿易の停滞に加えて、不確実性と金融不安が増大することで、世界経済の成長率は2%前後まで低下する懸念あり。また、トランプ政権の保護主義はコスト高や過剰投資による生産性の低下を招く恐れ。中長期的には、米国なしの経済連携が進み、米国中心の世界経済の構造が徐々に変化する可能性も。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)