リサーチ・アイ No.2025-041
イスラエル・イラン紛争は原油価格を押し上げ ― ホルムズ海峡封鎖に飛び火すれば140ドルに急騰、わが国GDPを3%下押しも ―
2025年06月18日 栂野裕貴
中東では、イスラエルとイランの紛争が激化。今月13日にイスラエルがイランの核施設などを攻撃したことに対して、イランは報復攻撃を実施。その後、イスラエルがイランのエネルギー関連施設や国営放送局を攻撃するなど、報復の応酬が続く状況。
こうした軍事衝突は、中東からの原油供給を下押しすることで、価格を押し上げる公算大。世界の石油需給バランスと価格の関係を踏まえると、イランの原油輸出量(日量170万バレル弱)がゼロになる場合、価格は+8%(現行水準対比+6ドル/バレル)上昇する計算に。
今後、両国の間で停戦協議が進むか否かは依然として不透明な情勢。仮に、戦闘が一段とエスカレートし、イランが世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する事態に至れば、価格は140ドル程度(現行水準対比+70ドル/バレル)まで急騰するリスク。
中東情勢の緊迫化は、わが国経済にも影響。わが国はイランから原油を輸入しておらず、同国の原油輸出が途絶した場合に受けるマイナス影響は限定的。もっとも、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなど他の中東諸国からの原油輸入には強く依存。そのため、ホルムズ海峡が封鎖され、中東からのエネルギー調達に支障が生じた場合に被る悪影響は甚大となる見通し。試算によると、中東からの化石燃料輸入がすべて途絶するリスクシナリオでは、電気・ガス業や製造業を中心に減産圧力が高まり、GDPが3%弱下押しされる可能性も。
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