リサーチ・アイ No.2025-039
伸び悩む日本人旅行者数 ― 宿泊費の高騰が背景、観光収益の地域差を助長 ―
2025年06月09日 古宮大夢
わが国の宿泊需要は日本人と外国人で二極化。外国人旅行者数がコロナ禍前を大きく上回る水準で推移する一方、日本人旅行者数はコロナ禍前と同程度の水準で停滞。
この一因として、宿泊費の高騰を受けた国内旅行需要の減退が指摘可能。インバウンド需要の拡大で宿泊施設の稼働率がコロナ禍前の水準に回復しているほか、宿泊業の人手不足も進行しており、価格が上昇。宿泊費は足元でコロナ禍前の1.3倍近い水準に。宿泊費が前年比マイナスからプラスに転じた局面で宿泊者数の伸びが鈍化しており、価格上昇が需要を下押ししている可能性。
先行きも日本人国内旅行者数は弱い動きが続く見通し。国内家計の所得環境は緩やかに改善するとみられるものの、宿泊業の人手不足やインバウンド需要の増加による宿泊費の高騰が引き続き重石に。
日本人国内旅行者の伸び悩みは、宿泊者に占める日本人の割合が高い地方部の観光収益を下押しし、都市部やその近郊との地域格差を助長する恐れ。地域経済の活性化や都市部オーバーツーリズム問題の解消に向けて、広域周遊観光プランなどインバウンド需要を地方に広げる多角的な取り組みが重要に。
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