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リサーチ・フォーカス No.2025-017

忍び寄る「逆オイルショック」の影 ― わが国景気に恩恵も、金融市場・産油国情勢の変調に注意 ―

2025年05月30日 栂野裕貴


足元では、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国から構成されるOPECプラスが増産姿勢を強めている。今後、OPECプラスが急ピッチな増産を行うことで、原油価格が急落する「逆オイルショック」が生じることへの警戒も高まりつつある。

過去を振り返ると、①世界の石油需要の減速、②OPECの生産シェアの低下、③加盟国間の足並みの乱れの3つの条件が揃った時に、逆オイルショックが生じてきた。今次局面はこの3条件を全て満たしており、原油価格が急落する可能性は相応に高い。

逆オイルショックが生じると、支出性向の低い原油輸出国から支出性向の高い原油輸入国に所得が移転するほか、インフレ圧力が弱まることで、世界全体の景気が押し上げられる可能性が高い。わが国においても、原油価格▲4~35 ドル/バレルの下落は、実質GDP成長率を+0.1~0.4%ポイント押し上げると試算される。

ただし、逆オイルショックには、金融市場や産油国情勢を不安定化させるリスクもある。原油安による財政悪化に直面した産油国が、財政資金確保のために保有株式の一部を売却すれば、世界的に株価が下落する可能性がある。経常収支も悪化することで通貨が減価し、産油国で高インフレが生じる恐れもある。すでに経済苦境に陥っているイランの外交姿勢が強硬化し、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が封鎖される事態に至れば、原油価格が一転急騰する可能性がある点にも注意を要する。


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