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リサーチ・フォーカス No.2025-013

インド・パキスタン対立と水問題

2025年05月26日 熊谷章太郎


本年4月下旬、インドとパキスタンの対立が深まるなか、インドはインダス川水系の水資源の配分を定めた条約の履行を停止した。同措置は、パキスタンに対する強い警告・制裁という側面があるが、インドがかねてから同条約の見直しをパキスタンに対して要求していたことなどを踏まえると、国内の水不足懸念の深刻化といったインド側の実情に根差した行動と捉えることもできる。

今後、インドがインダス川水系からの取水量を大幅に増加すれば、①水不足に伴う農林水産業の悪化、②水力発電の減少に伴う電力不足、③景気悪化と治安悪化の悪循環、などの経路を通じてパキスタン経済・社会は不安定化するだろう。こういった事態を回避すべく、パキスタンがインドの取水行為を妨害したり、インドへの敵対心を深めるイスラム過激派が新たな越境テロ事件を実行したりすることで、印パ対立が深刻化する可能性がある。

水資源を巡る印パ対立の深刻化は、双方の経済・社会の持続的な発展を困難にする。こうした状況下、日本は、両国における水の利用効率の改善、農作物のサプライチェーンの効率化、排水浄化処理施設や海水淡水化設備の導入、などを支援することで南アジアの平和と安定に貢献していくことが期待される。


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