リサーチ・アイ No.2025-025 輸出に活路を切り開く関西の地場産業ー刃物と清酒を例にー 2025年05月16日 西浦瑞穂関西には様々な地場産業や伝統的工芸品が存在。生活様式の変化や安価な輸入品との競合などから事業の存続が難しい産業や工芸品がある一方、輸出に活路を見出す品目も。関西の伝統工芸品のうち、堺や三木などが産地として知られる包丁の生産額は、2000年代後半まで長期にわたり低迷。もっとも、台所用刃物の欧米向け輸出が2010年頃から増加に転じたことを受けて、生産額も増加。また、灘や伏見などを中心として、関西はわが国の清酒生産量の4割強を占める主要産地。関西の清酒の輸出は、2010年頃から大きく増加。ただし、関西では清酒の輸出量は生産量の1割程度にとどまり、現時点では生産の下げ止まりには至っていない状況。包丁や清酒は、わが国の食文化を語るうえで欠かせない存在。和食や伝統的酒造りはユネスコ無形文化遺産であり、わが国の観光コンテンツとしても重要なアイテム。現状、包丁は米国とEU、清酒は米国と中国が主な輸出先となっているものの、今後、関西における生産量を拡大していくうえでは、所得の拡大が見込まれるアジア新興国など、新たな市場開拓が重要に。伝統工芸品や嗜好性の高い財の場合、米国の関税引き上げによる悪影響は限定的と考えられるものの、輸出先の多角化はトランプ関税への対応という面からも有効。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)