ビューポイント No.2025-005 手詰まり感が強まる中国の消費刺激策 2025年05月12日 枩村秀樹、佐野淳也中国政府は、昨年から消費活性化に本腰を入れるようになった。この背景として、①長引く不動産不況による内需の回復力低下、②米国トランプ政権が打ち出す関税政策による輸出下振れリスクの高まり、の2点が挙げられる。昨年末の中央経済工作会議と今年3月の全国人民代表大会(全人代)を経て、3月16 日に中国共産党と国務院の連名で、8分野30 項目からなる消費刺激パッケージ『消費促進特別行動計画』が公表された。今後は、この計画に沿って消費刺激策が実施されていくと予想される。もっとも、この計画には以下のような問題点がある。①メリハリに乏しい総花的内容で、どこに重点があるのか見えてこないこと②目玉政策である耐久消費財の買い替え補助金は需要の先食いにすぎないこと③依然として供給側を重視した政策が多いこと個人消費は共産党・政府のコントロールが最も効きにくい分野であるため、いかに社会主義国家の中国といえども狙い通りに動かすことは難しい。消費不振から脱するのは困難で、日本が辿った長期消費低迷を再現するコースに向かっているように思われる。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)