リサーチ・アイ No.2025-012
トランプ関税がユーロ圏景気下押しのリスクに ― 自動車・医薬品・機械類への影響大、成長率を▲0.4%ポイント下押し ―
2025年04月16日 立石宗一郎、中井 勇良
ユーロ圏の輸出は低調。なかでも、中国向け輸出は減少に歯止めがかからず、コロナ前を下回る水準で推移。中国の景気減速や、欧州製品の海外市場における競争力低下が要因。こうした対中輸出の不振は米国向けの増加でカバーされており、ユーロ圏の輸出に占める米国の割合はコロナ前から大きく上昇。ここ数年で対米依存を強めてきた欧州にとって、関税引き上げは対米輸出の減少を通じ、輸出全体を底割れさせる可能性。
米国政府は、全世界からの輸入品に一律10%の関税を賦課しつつ、自動車や鉄鋼・アルミニウムには25%の関税率を設定。さらに、医薬品などの品目にも高い関税率が賦課される見込み。試算によれば、こうした関税政策はユーロ圏輸出を▲1.1%ポイント程度下押すことで、GDPを▲0.4%ポイント程度押し下げる見通し。内訳を見ると、対米輸出の3割ほどを占める個別品目輸出への影響が大きい見込み。
特に個別品目関税の対象となっている自動車、医薬品、原子炉などを含む機械類が米国市場に大きく依存。これらの産業に強みを持つドイツ・イタリア・アイルランド・フランスなどでは輸出減が顕著となり、景気が大きく下押しされる恐れ。
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