リサーチ・アイ No.2025-008 トランプ関税で世界の石油需要は日量200万バレル減少 ― ただし、イラン・ベネズエラ制裁強化が価格下押し圧力を打ち消し ― 2025年04月09日 栂野裕貴米国のトランプ政権は「相互関税」を公表し、すべての国に対して10%の追加関税を課した上で、とくに対米貿易黒字の大きな国に対しては関税率を上乗せする措置を決定。こうした関税賦課は、世界各国の景気を悪化させることで、石油需要を下押しする公算大。現在公表されている関税がすべて賦課される場合、世界全体の成長率は▲1.1%ポイント下振れる見通し。世界の実質GDPと石油需要の関係を踏まえると、トランプ関税は世界の石油需要を約2%(日量▲200万バレル弱)押し下げる計算。こうした需要減少は原油価格を下押しする一方、以下の制裁強化が供給を同程度(日量▲220万バレル)減少させることで価格を下支えする見通し。第1に、イランへの制裁強化。トランプ大統領は、第1次政権時に採用した、イランに「最大限の圧力」をかける大統領覚書に署名。イランによる核開発の原資を減らすため、同国の原油輸出量をゼロにすることを目指す方針。第2に、ベネズエラへの制裁強化。トランプ政権は、ベネズエラのマドゥロ政権が米国からの不法移民の受け入れを停止したことなどを理由に、米石油大手のベネズエラにおける事業許可を取り消す見込み。加えて、ベネズエラから石油を購入した国に追加関税を課すことで、同国の原油輸出を阻害する構え。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)