ビューポイント No.2025-001 新たなわが国エネルギー政策の方向性 ~第7次エネルギー基本計画にみる課題~ 2025年04月01日 新美陽大2025年2月、わが国の中長期的エネルギー政策の指針として、第7次エネルギー基本計画が決定。近年の情勢変化を踏まえ既存計画を見直すとともに、対象期間を2040年度に。安全性を大前提に安定供給・経済効率性・環境適合のバランス良い適合を目指す、基本的視点「S+3E」は堅持。エネルギー需給の見通しをみると、需要面では、省エネ等でエネルギー需要全体は減少するものの、デジタル化の進展などによって電力需要は増加。一方、供給面では、再生可能エネルギーの最大限導入とバランスのとれた電源構成を目指す、“野心的”な計画を継承。また、不確実性への対応として、初めて複数の将来需給シナリオを提示。 もっとも、今後に向けた課題も存在。主なものは以下。– 「S+3E」のうち、経済効率性の関連指標・見通しが示されず、エネルギーコストの予見可能性が低下。足元では、電気料金単価の著しい上昇を受けて国民のコストへの関心は高く、電力コスト等の見通しを示し、継続的なモニタリングや機動的な政策対応が可能となる体制を構築すべき。– 複数の将来需給シナリオが示されたものの、複数シナリオの活用方法は示されず。政策効果の定量的な把握や、目標とのギャップ解消に必要な追加政策の検討などに活用すべき。– 検討過程では、エネルギー政策と関連性の高い地球温暖化対策計画などと連携して議論。今後の各計画の実施フェーズでは、エネルギー・環境政策を統合的に運営できる体制を構築すべき。具体的には、「S+3E」を含め、各計画の重点要素を踏まえた指標群を設定し、継続的なモニタリングを行うとともに、機動的かつ分野横断的な政策運営を実施可能にすべき。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)