リサーチ・フォーカス No.2024-071 2040年代の全国・都道府県別空き家数・空き家率の推計― 全国の空き家率は直近5.9%から8%超に ― 2025年03月28日 立岡健二郎わが国では、空き家が増加の一途を辿っており、なかでも問題視されているのが賃貸・売却用、別荘などを除いた空き家(その他空き家)の増加。2023 年時点で386 万戸、全体の住宅ストックに占める割合(空き家率)は 5.9%まで上昇。こうした空き家は、長期間適正な管理がされないままに放置される可能性が高く、周辺地域や住民に負の影響を及ぼす恐れ。その他空き家の増加の主因は、高齢化に伴う死亡数の増加。今後も死亡数の増加が見込まれていることから、今後中長期にわたり、空き家数が増え、空き家問題が深刻化する恐れ。2043 年のその他空き家数・空き家率を推計すると、まず、全国レベルでは空き家数は 597 万戸と、現在から 1.5 倍に増え、空き家率は 8.1%に達するという結果に。次に、都道府県レベルでみると、空き家数の増加は、大都市圏で著しく、全国の数値を押し上げ。空き家率は、地方圏で一段と上昇し、さらに高い水準に。住宅ストックの伸びがマイナスに転じる、あるいは緩やかになる一方で、空き家数が増加するため。いずれの都道府県でも空き家増への寄与が大きい要因は、死亡率の上昇。多くの都道府県で4~5%ポイント前後空き家率を押し上げ。近年の空き家対策に関しては、その対象が周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家のみならず、幅広い空き家に広がっており、その目的も、住宅供給制約の緩和や地域活性化など、より公共色の強いものを含むように移行。不動産の公共性をより重視するような修正や見直しが図られている状況。政府は、2020 年に土地政策の根幹を定める土地基本法を改正。個別法制における不動産の公共性をより重視するような見直しに裏付けを与えた形。今後は、空き家を含めた土地政策の再構築を一段と進めていくことが必要。空き家対策では、専門人材の育成を図るとともに、今後はとりわけ都市圏の集合住宅・マンションの空き家対策を一段と強化することが必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)