リサーチ・アイ No.2024-127
新NISA導入後の金融教育に対する意識の変化と今後の課題 ― 世代毎の特性を踏まえた金融教育の実践を ―
2025年03月26日 内村 佳奈子
わが国では、2024年の少額投資非課税制度(NISA)の拡充等を受けて、証券投資に対する関心が高まるなか、金融教育や投資教育の拡充が重要な政策課題に。この点、昨年に金融経済教育推進機構(J-FLEC)が新設されるなど、官民挙げて金融教育に注力。
これらの取り組みの効果もあり、日本証券業協会のアンケート調査によれば、証券投資の必要性を認識する人の割合は、2021年から2024年にかけて10%ポイント以上増加しているほか、実際に証券投資教育を受けた人の割合も20~30歳代を中心に増加。
一方、今後金融教育の実効性を高めていくためには、世代毎の特性を踏まえたアプローチが肝要。例えば、投資教育を受ける際の情報源を年代別でみると、中立機関や公的機関のセミナーが全世代で比較的利用されている一方、若年層ではSNSやインフルエンサー、高齢層では金融機関や新聞、テレビへの依存度が高くなるなど年代毎に接触頻度の高い媒体に違い。
また、金融教育については、これまで学校教育への展開など、若年層にフォーカスが当たっていたものの、今後は40~60歳代の中高齢層向けの対策も重要に。前述の証券投資教育を受けた人の割合をみると、中高齢層の伸びが限定的であるほか、SNSを悪用した投資詐欺の被害者も40~60歳代に集中。これらを踏まえれば、同層向けを中心に、資産防衛の観点から、金融リテラシーを高めていくようJ-FLECや金融機関、メディア等が連携して呼びかけていく必要あり。
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