コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2024-105

インド予算案、製造業の競争力強化を志向 ― 期待される貿易収支改善、雇用創出、対内投資増加のきっかけとなる可能性 ―

2025年02月13日 細井友洋


2月1日に公表されたインドの2025年度予算案では、歳出総額が50.7兆ルピーと前年度比+5%の増加。その中身で注目されるのは中長期的な製造業の競争力強化策。具体的には、以下の3点を推進。産業育成による輸出増加が貿易赤字を縮小させ、インド内での雇用や対内投資 拡大に寄与する公算。

第一に、高付加価値産業の育成を意図した補助金や関税撤廃。予算案では電子機器や自動車など高付加価値産業向けの生産額連動補助金(PLI)が前年度比2割拡大。また、携帯電話とEV向け蓄電池の生産に必要な鉱物や資本財の基本関税を撤廃。これにより蓄電池原材料の輸入が増加する一方、輸入が急増していたより付加価値の高い蓄電池本体の国内生産拡大と輸入代替につながる可能性。

第二に、食品加工、靴・皮革、玩具産業など労働集約型産業の振興。予算案では、設備投資や人材育成支援、PLIなどについて、食品加工産業は前年度比3割増の410億ルピー、靴・皮革産業は前年度比4割増の35億ルピーにそれぞれ拡大。また、電子玩具生産に必要な部品の基本関税率を70%から20%に引き下げ。これらは合計1兆ドル超の巨大市場であるが、現時点ではインドのシェアは小さく、キャッチアップの余地が大。

第三に、「ビジネスのしやすさ」の改善に向けた環境整備の推進。予算案では、物流、電力、水道などのインフラ整備への支出が前年度比1割増の11.2兆ルピーと、過去最大を更新。また、省庁横断の「規制改革ハイレベル委員会」を設置し、すべての非金融セクターの規制・許認可の見直しを推進。これらを通じて、遅れているインフラの整備や不透明な法制度の改善が進展し、これまで伸び悩んできた製造業の対内直接投資の呼び込みにつながる可能性。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ