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リサーチ・フォーカス No.2024-062

中小企業の事業承継M&Aに係る動向と地域金融機関に期待される役割

2025年01月22日 谷口栄治


団塊の世代の多くが75 歳以上の後期高齢者となる「2025 年問題」に直面するなか、中小企業の事業承継が重要な政策課題に。中小企業の事業承継については、長らく親族や社内での承継が主流であったが、足元では、事業譲渡(M&A)も拡大。

中小企業庁では、事業承継M&A を推進すべく、支援体制の整備や補助金・税制優遇措置を行っているほか、中小企業経営者の理解を促すため、各種ガイドラインを策定。また、M&A 仲介事業者による利益相反の問題が顕在化するなか、中小M&A 支援機関登録制度の導入や自主規制団体の設立など、仲介事業者の質の向上と透明性の確保に向けた施策を推進。

地方では、経営者の高齢化と人口減少が進むなか、地方経済を支える中小企業群を維持するためにも、円滑な事業承継が不可欠であり、多くの中小企業と関係を築いてきた地域金融機関の役割が重要に。地域金融機関としては、自らの顧客基盤、収益基盤維持の観点からも、以下の役割を果たしていくことが望まれる。

① 事業承継ニーズへの的確な対応 ~ 適切な選択肢の提示
顧客意向や経営環境等を踏まえ、事業譲渡(M&A)を含め、適切な選択肢を提示する必要あり。M&A に関しても、仲介事業者やメガバンクとの連携によるマッチングサービスの提供、後継者(サーチャー)と売り手企業を結び付けるサーチファンドの活用など、幅広い手段を用意・提供していくことが求められる。

② M&A 後のPMI への貢献 ~ 顧客との持続的な関係の構築
M&A では、事業や経営の円滑な統合(PMI:Post Merger Integration)が重要。地域金融機関は、事業承継M&A 後のPMI を支援するため、社内における人材育成やノウハウの蓄積、外部機関との連携等を通じたサポート態勢の整備が必要。

③ 融資慣行の見直しを通じた事業承継の環境整備 ~ 心理的負担の軽減
事業承継時の障壁のひとつが、経営者保証の存在。後継者の心理的な負担となったり、M&A 時のトラブルにつながることもあるため、地域金融機関としては、信用状況等を踏まえて経営者保証の解除を検討するとともに、解除するための要件を明示するなど、融資慣行の見直しを進めていく必要あり。


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