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リサーチ・アイ No.2024-088

カナダ産原油、政策要因で高まる生産下振れリスク ― トランプ関税引き上げとカナダの環境規制強化が背景 ―

2025年01月08日 栂野裕貴


カナダでは、原油生産が堅調。足元の原油生産量は日量500万バレル程度と、2010年代初頭の水準から倍増。増産の背景として、①主要輸出先である米国の需要が堅調であること、②企業合併や事業買収などによって石油企業の生産効率が高まったこと、③パイプラインの拡張によって石油の輸送能力が増強されたこと、の3点が指摘可能。

カナダ石油企業は先行きも増産継続の構え。カナダエネルギー規制庁によると、現行の政策が続く場合、原油生産量は2035年にかけて日量620万バレルまで増加する見込み。もっとも、以下のとおり、原油生産を抑制するリスクが足元で増大。

第1に、米国の通商政策。トランプ次期米大統領は、カナダからの輸入品に対して25%の関税を課す方針。カナダは原油の8割を米国に輸出しており、関税賦課による価格上昇が米国におけるカナダ産原油の競争力を低下させる公算。

第2に、カナダの環境政策。カナダ政府は、2024年11月に石油企業からの温室効果ガス排出に対する規制案を公表。同規制は早ければ2026年に導入され、原油生産を抑制する可能性。

こうした政策は、石油企業の収益を圧迫することで、増産に向けた設備投資を腰折れさせる可能性。その場合、生産伸び悩みが長期化するリスクあり。カナダの原油生産は、ロシアやサウジアラビア等のOPECプラスによる減産効果をこれまで打ち消してきただけに、生産の伸び悩みが原油価格を押し上げる可能性も。


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