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リサーチ・フォーカス No.2024-059

高齢者の認知機能低下に対する金融面でのサポートのあり方 ― 認知症患者増加と支援の担い手減少を踏まえた対応が急務 ―

2024年12月26日 下田裕介


わが国では、高齢化の進展に伴い、認知症の患者数が大幅に増加。高齢者は若年層と比べて多額の金融資産を保有しており、認知能力が低下する高齢者が増加すれば、資産が凍結されたり、オレオレ詐欺をはじめとする特殊詐欺被害に巻き込まれるケースが増える懸念大。

認知機能が低下した高齢者の資産を守るために、わが国では、①家族信託や成年後見制度など専門家のサポートのもと利用できる制度、②代理人キャッシュカードや日常生活自立支援事業をはじめとする民間企業や民間団体が提供するサービスが存在。もっとも、使い勝手などで一長一短の面もあり、利用件数は認知症患者数の規模と比べて限定的。

これらの制度やサービスが抱える課題と求められる対応の方向性について、それに関わる様々な立場からそれぞれ整理すると以下の通り。
① 金融機関:全銀協は、認知症顧客への対応に関する指針を公表。もっとも、指針は各銀行に一律の対応を求めるものではないため、対応に差が生じるケースも存在。混乱が生じないよう、業界全体で統一のルールやガイドラインを定める必要あり。
② 政府:成年後見制度の法定後見では家族が希望しても制度を中止できないほか、後見人の交代も困難など、制度が硬直的。本人や家族のニーズにきめ細かく対応できるよう民間サービスも参考に柔軟に改めていくべき。
③ 地域:身寄りのない認知症高齢者が増えるなか、親族以外の担い手を厚くしていく必要あり。地域住民によるサポート(市民後見人)、民間企業や業界団体の取り組みを後押ししていくことが重要に。
④ 全体:高齢者やその親族が抱える不安は、本人の認知機能の低下による金融資産の保全にとどまらず、普段の生活支援、医療・介護、死亡後の対応など多岐にわたるため、家族信託や成年後見制度を含め、ワンストップでサービスを紹介・提供できる仕組みを整えることが有効。


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