リサーチ・アイ No.2024-078
イングランド銀行による金融システム全体を対象としたストレステストの概要 ~ ノンバンク金融機関(NBFI)発の金融リスクを監視する態勢整備が必要に ~
2024年12月11日 谷口栄治
イングランド銀行(BOE、英中銀)は、ノンバンク金融機関(NBFI:Non-Bank Financial Institutions)を含め、金融システム全体を対象とするストレステスト(System-wide exploratory scenario(SWES)exercise)を実施し、本年11月、その結果を公表。
SWESテストは、英金融市場で活動する金融機関(銀行、NBFI等)約50社を対象に、①金融ストレス時の金融機関への影響(保有資産の時価変動)や反応(流動性不足への対応)、②これらの行動の相互作用による金融市場(英国債、レポ取引、社債等)への影響、を精査し、英国金融システム全体の健全性や頑健性を検証するもの。
BOEは、NBFIセクターのリスク対応力は総じて高まったと評価する一方、ストレス時には、銀行のリスクテイク能力が低下し、一部のNBFIがレポ市場で想定通りに流動性を確保できないリスクがあると指摘。また金融市場では、英国債市場の耐性も高まったとみられる一方、英ポンド社債市場で流動性が低下し、債券価格が急落する恐れあり。
今回のBOEによるSWESテストは、NBFI発の金融ショックを予見する観点から効果的な取り組みであり、なかでも金融ショックへの影響にとどまらず、ショックに対する金融機関の反応も含めて影響を精査している点は画期的。今回のBOEの取り組みを参考に、NBFI発の金融リスクへの対応の精度や実効性を高めていく必要あり。
(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)