女性の流出が大きな課題となっていた地方圏にとっては、女性が地域にとどまる可能性の高まりは歓迎すべき動きと言えるかもしれない。しかし、わが国の経済成長を促す観点では、女性の理系人材や IT 人材を育成することは大きな課題である。ジェンダーギャップ解消の面からも、地方においてキャリア教育の充実や大学の学科再編などを通じて理系を志望する女性を増やすことが望まれる。
ただし、地方において、女性理系人材の受け皿をもうけないまま育成ばかりを進めれば、東京圏への女性の流出が再び加速しかねない。わが国の経済発展と高度人材の地域定着を両立するために、地方においても、理系人材や IT 人材の受け皿となる雇用の場を充実させていくことが必要である。7 割以上の IT 人材を東京圏の IT 企業が抱え込んでいる現状から脱却するには、地方に拠点を構える企業が、積極的に理系人材を採用することで、女性の地域定着を促すとともに、各企業の内発的な DX や研究開発を促進して地域経済を活性化していくことが必要である。