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リサーチ・フォーカス No.2024-048

オーストラリアで深刻化するガス不足懸念~ LNG輸入国は先行きエネルギー政策の見直しを迫られる可能性~

2024年11月28日 熊谷章太郎


世界のLNG(液化天然ガス)主要輸出国であるオーストラリアで国内消費用のガス不足懸念が深刻化している。その理由は、2010 年代以降、東アジア向け輸出が増加する一方、脱炭素社会への早期移行を目指す政府の下で新規ガス田の開発が進まなかったためである。

オーストラリア政府は、こうした事態に際し、再生可能エネルギーの導入拡大を主軸に対応しようとしている。しかし、その実現には相応の時間が必要になるため、2020 年代末以降、国内のガス不足は一段と深刻化する公算が大きい。こうしたなか、一部の州政府は、新規ガス田の開発や石炭火力発電の継続利用を含めてエネルギー政策の見直しに着手している。ただし、輸出向けの新規ガス田の本格開発には消極的であり、国内の深刻なガス不足が回避されたとしてもオーストラリアのLNG供給能力は中長期的に低下し続ける公算が大きい。

オーストラリアのLNG供給能力の低下は、主要輸出先であるアジア各国にエネルギー政策の見直しを迫る。各国は、再生可能エネルギーの導入ペースを加速することでLNGの供給不安定化リスクへの対応を図ると見込まれる。しかし、オーストラリアよりも輸送距離の遠い米国や中東諸国からのLNG輸入の拡大や、石炭火力発電の廃止時期の見直しなどを通じた対応が中心となる場合には、世界全体の脱炭素化には少なからぬ支障をきたすことになる。

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