リサーチ・アイ No.2024-053 ハリス米大統領候補の環境政策は原油価格を下押し 2024年09月13日 栂野裕貴米国では、大統領選挙の情勢が大きく変化。現職のバイデン大統領が7月下旬に選挙戦から撤退し、後継候補としてハリス副大統領への支持を示すと、ハリス氏の支持率が急伸。選挙結果を左右する激戦州においても、ハリス氏がトランプ氏を追い上げ。仮に、ハリス氏が大統領に選出され、同氏が掲げる環境・エネルギー政策が実施される場合、原油価格は低下する公算。背景として、次の2点が指摘可能。第1に、原油需要の減少。ハリス氏はバイデン政権下で強化した環境規制を維持する方針。なかでも、自動車の温室効果ガス排出規制は、米国の新車販売に占める電気自動車(EV)の比率を大幅に押し上げる見通し。政府保有のバス・公用車もEVに転換する見込み。EV化の進展は、ガソリン需要などを通じた米国の原油消費を中長期的に抑制する公算大。第2に、原油供給の維持。ハリス氏は気候変動対策を重視する姿勢ながらも、フラッキング(水圧破砕法を用いたシェールオイル・ガス開発)を容認しており、規制強化による米国の原油生産への下押し圧力は限られる見通し。加えて、ハリス氏が当選しても、連邦議会上院は共和党が過半数を確保する可能性が高く、同氏が掲げる石油・ガス企業への補助金廃止案の議会通過は見込み薄。そのため、関連企業の採算面から減産圧力が高まる可能性も小。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)