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リサーチ・フォーカス No.2024-029

婚姻数の減少と結婚に対する意識の変化

2024年09月06日 藤波匠


わが国の婚姻数は、1970 年代後半から 2000 年頃にかけて、概ね 70 万組台で推移したものの、それ以降は減少傾向にあり、2023 年にはついに 50 万組を割り込んだ。

とりわけ 2020 年以降は、コロナ禍が引き金となって、婚姻数の減少が顕著である。2019 年から 2020 年初頭には、令和婚などのイベント婚による一時的な増加がみられたものの、コロナ禍以降は、2016~18 年のトレンド線を下回る減勢が続いており、コロナ終息後も回復には至っていない。

一生結婚するつもりのない人の割合は、男女とも 10%台にとどまり、いまだ大半の若者は結婚の意思を有しているものの、男女とも上昇傾向にあり、結婚意欲は減退。

初婚、再婚を問わず、出会いから結婚までの期間は長期化し、「授かり婚」なども減少傾向にあることから、若い世代の結婚に対する慎重さが増しているとみられる。また、結婚と出産を切り分けて考える若い世代も増えているとみられ、彼らが結婚・出産を一つ一つ慎重に考えて行動している様子がうかがわれる。

職場環境の変化により、出会いの機会が減少していることも婚姻数減少の一因。近年、若いうちは仕事に打ち込みたいと考える女性が増えるとともに、職場でパートナーを見つけづらくなっていることもあり、出会いの場として SNS などのネット空間やマッチングアプリなどの重要度が増している。ネットで知り合ったカップルの結婚までの期間は比較的短いことから、ネット空間が、真剣に結婚を希望する男女の活動の場として、一定程度の役割を果たしている。

近年結婚する男女の年齢差は縮まっており、以前は一般的であった上昇婚は影を潜めつつある。経済成長の停滞が長期化する中、「夫が妻を養う」という旧来型の夫婦の在り方から、それぞれが収入を得てともに支えあう形への移行がうかがわれる。

男女がともに経済的に自立し、対等な関係で婚姻関係(同類婚)に入る形が一般的となりつつあるため、自らの経済的地位の確立に時間を要したり、結婚に対して慎重になったりしている。若い世代の賃金上昇や雇用体系における男女格差を解消することはもちろんのこと、配偶者(特別)控除や国民年金の第 3 号被保険者制度など、旧来型の夫婦のあり方を前提とした諸制度を見直していくことも必要といえよう。

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