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リサーチ・アイ No.2024-048

ハリス米大統領候補の食品価格規制案は企業部門に副作用―インフレ抑制効果も見込み薄―

2024年09月05日 松田健太郎


民主党のハリス副大統領は大統領選に向けた政策として、食品価格の抑制策を提示。食品価格のつり上げ禁止に向けた連邦法の制定や独禁法などの規制適用強化を示唆。

価格抑制策の狙いは、食品価格の高騰により打撃を受ける中低所得者向けの支援拡充。米国では、食品価格がコロナ前から25%上昇しており、他の財と比べても上昇幅が大。5分位で所得が最も低い層では、家計支出に占める食品の割合は3割超と群を抜いて高く、これらの層では価格抑制策の恩恵が大。

ただし、価格抑制策は、家計消費の支えとなる一方、企業収益を下押しする公算。足元の米国の食品製造・小売業の利益率はコロナ前の水準並みであり、製造・流通段階で特段過剰なマージンはみられず。そうした状況下で、コスト転嫁の制限などにより収益が圧迫されれば、業容縮小による雇用削減や小規模小売店などの倒産が増加する可能性も。

加えて、インフレ抑制効果も見込み薄。価格統制が実施された1970年代のニクソン政権期には、価格高騰を政策で抑えられず、最終的には価格上昇が容認された経緯。価格統制は企業活動に悪影響を及ぼすことで供給不足が生じ、かえってインフレ圧力が高まることが背景。このように価格抑制策は結果的にインフレの振幅を大きくしかねず、注意が必要。


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