リサーチ・フォーカス No.2024-028 「メイク・イン・インディア」10年間の評価 2024年08月23日 熊谷章太郎2014 年9月にインド政府が打ち出した製造業振興キャンペーン「メイク・イン・インディア」が近く 10 周年を迎える。過去 10 年間でインドの製造業は大きく発展したものの、貿易赤字の縮小や雇用創出など、製造業の発展を通じた目標達成は道半ばである。前向きに評価できる点として、過去 10 年でビジネス環境が改善するなか、製薬産業、金属産業、輸送機械産業などをけん引役に、製造業の実質付加価値が約2倍に拡大したことが挙げられる。諸外国と比べて立ち遅れていたエレクトロニクス産業においても、スマートフォンの生産が急拡大するとともに、半導体国産化に向けた機運も高まっている。一方、①経済全体に占める製造業の比率が低下していること、②貿易赤字/経常赤字が続いていること、③中国への高い輸入依存が続いていること、④各国の輸入に占めるインドの割合に大きな変化が見られないこと、などを踏まえると、製造業は質量両面で政府が当初期待した通りの発展を遂げたとは言えない。今後、インドが製造業の更なる発展を通じて貿易赤字の縮小や雇用創出などを実現できるか否かは、国内調達率の引き上げのカギを握る中小企業の進化や、労働集約型の輸出製造業の誘致に必要なビジネス環境の改善が進むかに掛かっている。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)