リサーチ・フォーカス No.2024-020 「金利のある世界」で顕在化する地銀の金利リスクと今後求められる対応 2024年07月23日 大嶋秀雄24年3月、日銀は、マイナス金利政策を解除し、長短金利を操作するイールドカーブコントロールから無担保コールレート翌日物を誘導する政策枠組みに変更。また足元では、量的緩和縮小の議論も開始。長期にわたり超低金利環境が続いたわが国においても、「金利のある世界」へ回帰の動き。「金利のある世界」への回帰は、銀行にとって収益機会となる一方、リスクも存在。とりわけ、地銀は都銀に比べてリスクが大きいと考えられ、今後、各ビジネス領域において以下の対応が求められる。(1)貸出貸出金利引き上げは容易ではなく、前回利上げ時の地銀の引き上げ幅は都銀に比べて小幅。地銀は、顧客リレーションを強化、経営課題解決に向けた提案力を高め、貸出金利引き上げにつなげる必要。また、金利上昇に脆弱な企業を見極め、収益力強化を支援し、返済能力改善を後押しすることも重要。(2)預金預金金利上昇幅は銀行差が小。貸出金利引き上げが遅れたり、不十分であると利鞘が縮小する恐れ。また、預金獲得競争で預金移し替えが広がる可能性も。地銀は、貸出金利引き上げを進めるとともに、預金確保に向けて、継続的な取引につながるサービスの品質向上等で顧客ロイヤリティを高める必要。(3)余資運用運用利回りの改善が期待できる一方、保有債券では評価損が発生。量的緩和縮小で市場機能が回復すれば、市場変動によって損失が発生しやすくなる恐れ。地銀は、環境変化に応じて運用戦略を見直すとともに、運用態勢・リスク管理態勢を強化し、過度なリスクテイクを回避することが重要。(4)資産運用ビジネス基本的に、資産運用ビジネスには追い風ながら、ネット証券等への資金流出が進む懸念あり。職域や金融経済教育など地銀の強みを活かせる戦略を推進し、幅広い顧客を取り込む必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)