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リサーチ・フォーカス No.2024-017

ノンバンクセクターに求められる 流動性リスクへの対応 ~ 証拠金・担保請求に対する備えを中心に ~

2024年07月04日 谷口栄治


リーマン危機後の銀行に対する規制強化等を受けて、海外を中心に、年金基金、保険会社、投資ファンドをはじめとするノンバンクセクター(Non-Bank FinancialIntermediation:NBFI)の資産規模が拡大する一方、同セクター発の金融リスクも増大。

NBFI セクターは、金融市場の混乱時に、①投資家からの資金償還要求の増加、②レバレッジの巻き戻し(借入の返済)、③証拠金・担保請求(マージンコール)の拡大、等によって、流動性が逼迫しやすい構造。そのため、手元資金確保のために保有資産の売却等を余儀なくされる結果、さらに金融市場のボラティリティが増大し、スパイラル的に金融市場や金融システムに悪影響を及ぼすリスクあり。なかでも、マージンコールの増大は、NBFI 発の金融ショックを引き起こすリスクあり。

このようなリスクに対し、金融安定理事会(FSB)は、証拠金・担保請求に対するNBFI の流動性管理を強化するための政策提言案を公表。具体的に、①リスク管理態勢やガバナンスの強化、②事前のストレステストの実施、③当局や取引相手(カウンターパーティ)等と連携した担保管理、をはじめ、流動性リスクに関する基本的な対応を要請。

NBFI に起因する金融リスクが増大するなか、今回示された施策を通じて、NBFI セクターにおいてマージンコールへの備えを強化することは急務。また、ボラティリティが急拡大しやすい状況にあることを踏まえれば、今後、国際機関や各金融当局において、NBFI セクターに対して、さらなる規制・監督強化が打ち出される公算大。

わが国では、間接金融主体の金融システムの構造が変わらず、NBFI セクターのプレゼンスは限定的。スタートアップや中堅・中小企業の資金調達手段の複線化、資産運用ポートフォリオの多様化の観点から、「資産運用立国」の実現に向けた施策を通じて、NBFI セクターの強化に努めるとともに、NBFI に対する国際的な規制・監督動向を踏まえ、リスク管理やガバナンス強化を並行して進める必要あり。


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