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リサーチ・フォーカス No.2024-016

国際金融都市ランキング指標の注意点と 自治体の目標・KPI 設定のあり方

2024年06月25日 野村拓也


国際金融都市ランキングは、各都市をわかりやすく比較できる指標として注目度が高く、なかでも、Z/YEN Group の「国際金融センター指数」、City of Londonの「競争力スコア」が主要ランキングとして存在。わが国でも、森記念財団の都市戦略研究所が、「世界の都市総合力ランキング-金融センター」を公表。

一方で、こうしたランキングには、正確性への批判も存在。実際、一部の主要都市の順位に大きなバラつき。原因として、国際金融都市の定義が不明確であることなどのほか、ランキング算出に利用する指標(データ)面の問題が複数存在。
① 参照できる定量データの限界:国ベースしかない、ビジネスの実態を十分に反映せず、継続的にトラッキング出来ない、アクセスが困難といった制約あり。
② 定性データの信頼性・正確性の欠如:質問票が一般公開され、属性情報(居住地等)が正確でないケースも。SNSでの投票呼び掛けもあり、恣意性が排除できず。
③ スコアリング手法が不明瞭:国際金融都市ランキングにおけるスコアは、各公表組織が独自の方法で算出しているが、その算出方法はブラックボックス。

上記の課題を踏まえれば、国際金融都市の実現を目指すわが国の各自治体としては、国際金融都市ランキングを過度に重視することなく、各々の「目指すべき姿」を明確化したうえで、それに繋がるKPI・目標設定すべき。

KPI・目標設定にあたっては、①取得が容易で継続的に公表されている定量データを使う、②国内データも参照して各都市の金融ビジネスの実態把握に努める、③定性データは極力利用しない、④スコアリングは実施しない、⑤指数、パーセンテージ、スコア、ランキングではなく実数値で比較する、などを要件にするのが妥当。

東京都、大阪府・市が現在掲げている多くのKPI・目標の達成期限は2024~25年に設定されており、これらの見直しや変更を検討すべき。その際は、「サステナブルファイナンス」、「フィンテック振興」、「資産運用ビジネス」、「デリバティブを含めた先端的な金融市場の創生」といった重点分野ごとに上記の要件を満たしたKPI・目標を設定すべき。


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