リサーチ・アイ No.2024-028 住居費の高止まりが米国インフレ沈静化を阻害―コア物価は年末3%強維持も― 2024年06月21日 松田健太郎米国では、住居費の高止まりがインフレ率押し上げに作用。2024年5月のコアCPIは前年比+3.4%と鈍化傾向にあるものの、住居費は同+5.4%と高止まり。先行き、以下2点を背景に住居費の高騰が長引く可能性。第1に、賃貸需要の強まり。FRBによる利上げを受けて、住宅ローン金利は足元で7%近くに達しており、コロナ禍前(2019年末)の4%台から大きく上昇。インフレによる実質所得の伸び悩みや、住宅ローン金利の高さから、新規の住宅取得を諦める家計が増加。一方、賃貸空室率は6%と低水準にあるほか、賃貸から転居を計画する人も減少。こうした家計が賃貸住宅にとどまり、家賃を押し上げている状況。第2に、供給不足を受けた住宅価格の上昇。住宅市場では、中古住宅と新築住宅を合わせた在庫が約150万戸と、2010年代平均(約250万戸)を 大きく下回る状況。金利上昇を受けて買い替えなども減少した結果、米国の住宅販売の8割超を占める中古物件の供給も減り、需給のひっ迫が住宅価格を押し上げ。 住居費の高い伸びは、米国のインフレ率低下を遅らせ、FRBの利下げを遠のかせることで景気下振れを招く恐れ。足元の住居費の伸びが続いた場合、年末のコアCPIは前年比3%強にとどまる公算。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)