リサーチ・アイ No.2024-003
勢いに欠ける韓国の株価 ― 海外投資家の少なさや財閥による支配などが重石 ―
2024年04月08日 呉子婧
韓国の株価指数は伸び悩んでおり、半導体関連を中心に上昇している日本、台湾とは対照的。半導体産業に強みを持つとされる韓国で株価が伸び悩む背景として、以下のとおり、①有力企業の業績伸び悩み、②海外投資家の少なさ、③資本効率の悪さ、の3点が指摘可能。詳しくは以下の通り。
第1に、KOSPI時価総額の約2割を占めるサムスン電子などハイテク企業の業績回復が鈍い点。AI向けなどでメモリ需要は着実に伸びているが、韓国企業が得意とするスマートフォンなど消費者向け機器の需要が伸び悩み。これが韓国のハイテク銘柄の株価の重石に。
第2に、海外投資家からの投資資金流入が小さい点。韓国における外国人投資家の株式保有比率は20%台と日本や台湾を下回る水準。韓国では、これまで外国人投資家登録制が実施されてきた(2023年12月に廃止)ほか、昨年導入された空売り規制も投資家の参入を妨げ。今次局面でも海外からの資金流入の弱さが株価の上値を抑制する一因に。
第3に、資本効率の悪さ。韓国のPBR(株価純資産倍率)は長期にわたって日本や台湾よりも低い水準。株主から集めた資金を有効活用できていない企業が多いと投資家は問題視。韓国では財閥が多くの企業の株式を保有。財閥傘下の企業は一般にガバナンスの透明性や株主への還元意識が低いとされ、社外取締役増員や配当拡大が必要との指摘も。
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