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JRIレビュー Vol.3,No.114

共働き共育て社会の実現に向けた企業の役割-男性の長時間労働の是正と柔軟な働き方の実現が不可欠-

2024年03月21日 井上恵理菜


政府は、出生率を上昇させるため共働き共育てを推進しようとしているが、現状では十分な成果があがっているとはいえない。

統計からみると、日本の女性は就業率が高まる一方で、家庭内での無償労働時間が他国に比べて著しく長く、過大な負担が掛かっている。共働き共育ての実現のために、男性の家事育児時間を増やすことが求められる。

男性の家事育児時間を増やす方法として、長時間労働を是正し、働き方を柔軟化することが有効であると実証されている。

こうした働き方改革は、企業の明確な目的意識を持った取り組みなくしては実現しない。企業にとっては、男性が過度な長時間労働を減らすことで労働生産性を高める効果が期待される。男性の長時間労働を減少させて家庭内での家事育児を相応に担うようにする一方で、女性が有償労働時間を増やすことができれば、全体の生産量を大きく減らすことなく、共働き共育てを実現することが可能になる。

若者は企業選びの際に働き方の柔軟性を重視しており、働き方改革は人材獲得のためにも必要である。生産年齢人口の減少、共働きの増加といった大きなトレンドを踏まえると、子育て中であっても働き続けやすい環境を作ることは、企業の持続的成長と家庭の共働き共育て希望を同時に実現するために不可欠な施策である。

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