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リサーチ・レポート No.2023-018

コロナ禍における企業支援策の全体像と課題

2024年03月04日 村瀬拓人


コロナ禍の経済対策において企業支援策は大きなウエイトを占めており、政府からの給付金を中心とした「直接的な企業支援」と、政府系金融機関などによる「資金繰り支援」を合わせると、コロナ禍で消失した利益の1.2倍の資金が企業部門に供給された模様である。

支援策を通じた企業への大規模な資金供給は、コロナ禍での事業の継続や倒産の抑制に一定の役割を果たしたものの、支援額の大部分は現預金の形で企業のバランスシートに積み上げられており、設備投資や雇用の促進効果は期待外れだったといえる。

コロナ禍の企業支援策を全体でみると、中小企業に的を絞った支援が行われたものの、支援を必要とする業種に効率的に資金を供給できたとはいえない。

コロナ禍の経済対策は、総じて予算の適切な見積もりや効率的な執行が行われたといえず、企業支援関連の施策でも執行の遅延や不用となった予算が発生した。

コロナ禍の企業支援の問題点の多くは、個別事業の費用対効果や他の施策との関係性などが十分に検討されず、「規模ありき」で経済対策の策定を続けたことに起因している。経済危機下においてもワイズスペンディングを徹底するとともに、実体経済の回復過程に合わせ、支援の規模や対象企業を柔軟に見直す必要がある。

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