ビューポイント No.2023-025 日独GDP逆転の背景と再逆転への課題~1人当たりGDPを高めるため、競争力の強化を~ 2024年02月22日 牧田健わが国のドルベース名目GDPはドイツに抜かれ、世界第4位に転落した。大幅な円安が短期的な背景ながら、1990年代以降わが国の1人当たり名目GDPの伸びが大きく鈍化していることが本質的な要因。実質時間当たりGDPは他国比遜色なく、1人当たりGDPの伸び鈍化は2000 年代初頭までは労働時間減少、2010年代半ば以降はGDPデフレーターの相対的な伸び鈍化が背景。GDPデフレーターを所得面から見ると、2010年代以降ユニットプロフィットの減少が下押しに作用。主因は交易条件の悪化で、輸入に依存するエネルギー価格の高騰を転嫁できないことが背景。とりわけ化学や電機関連で顕著。1人当たりGDPの伸びを高めるためには、①エネルギー面での化石燃料依存からの脱却、②高付加価値分野への円滑な労働移動に向けた労働市場の流動化促進、③デジタル人材の育成とデジタル活用に向けた組織改革、④IT等の活用を通じた介護関連の効率性向上、⑤金融・保険、情報通信など高付加価値分野の業容拡大に向けた積極的な取り組み、が欠かせない。1人当たりGDPの伸び鈍化は、国際的な競争力の低下が主因であり、デフレ脱却が展望できる今こそ、デフレ下で先送りされてきた構造調整を推し進める必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)