コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2023-047

資産運用立国に向けた新規参入支援策のあり方 - 効果的な新興資産運用会社支援プログラム創設や特区設置を -

2024年02月01日 野村拓也


わが国政府は昨年12 月、資産運用業やアセットオーナーシップの改革を含む「資産運用立国実現プラン」(以下、政策プラン)を公表。

資産運用業の改革については、資産運用会社の新規参入支援策として、新興資産運用会社向け運用資金獲得支援プログラム(日本版EMP)の創設、ミドル・バックオフィス業務のアウトソーシングに係る規制緩和や金融・資産運用特区の設置を提示。

これらの施策は、わが国においてこれまで取り組まれてきた事例があるほか、諸外国においても類似の施策を展開している事例が存在。
・EMPについては、東京都が2017年に東京版EMP を創設。もっとも、当初導入していた補助金を廃止した結果、EMPを運営・資金拠出する機関投資家のインセンティブ付けが不十分となり、参加機関投資家は少数。諸外国では多くのEMPが運営されており、政府系ファンドや公務員の年金基金等、大規模なファンドが参加。

・ミドル・バックオフィス業務のアウトソーシングについて、東京都は、新興資産運用会社向けにアウトソース費用に係る補助金を導入。一方、米国では、アウトソース可能な業務が細分化され、受託企業として、大手金融機関に加え、特定の分野に強いテクノロジー企業、フィンテック企業などが幅広く存在。

・金融・資産運用特区について、海外事例をみると、ドバイの金融特区(DIFC)では、資産運用業に新規参入するための組織体制を含めたガバナンス面の要件が詳細に規定されている一方、多様な機能をアウトソース可能。金融特区とともに設置されたアウトソース企業を誘致するための経済特区とも連携。

政策プランの資産運用業への新規参入支援策を効果的に実行するポイントは以下。
・日本版EMPについては、機関投資家のインセンティブ付けがポイント。東京都が導入していたような補助金を導入することも一案。また、GPIFや企業年金基金、大学ファンドなどの大規模投資家が「呼び水」としての資金拠出することも要検討。

・ミドル・バックオフィス業務のアウトソーシングについては、テクノロジー企業を含め、受託企業を増加させることがポイント。新興資産運用会社の負担軽減の観点から、国としてアウトソース費用を補助する制度も一考の余地あり。

・金融・資産運用特区は、英語対応や生活環境整備は前提として、さらに踏み込んだ施策を打ち出せるのかがポイント。特区内でアウトソースできる業務を拡大することも検討可能。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ