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リサーチ・フォーカス No.2023-045

株式投資型クラウドファンディングの活性化に向けた規制緩和と今後の注目点

2024年01月24日 谷口栄治


株式投資型クラウドファンディングは、株式調達を行うスタートアップ企業(非上場企業)と個人投資家を、インターネットサイト(プラットフォーム)上でマッチングするサービス。スタートアップ企業の資金調達手段の多様化、社会貢献と金銭的便益を両立できる投資機会の提供といったメリットがある一方、調達額や投資可能額に上限があり、流動性に乏しく投資リターンの確保が容易でないほか、情報開示が限られるため金融犯罪の温床になりやすい、といったデメリットが存在。

わが国では2015年に導入されたが、スタートアップ企業の資金調達額が高額となるなか、既存制度の見直しを求める声が増大。金融審議会の「資産運用に関するタスクフォース」は2023 年12 月公表の報告書において、①企業の発行総額上限の引き上げ(1億円未満から5億円未満)、②一般投資家の投資上限額の引き上げ(一律50万円から年収や純資産に応じた上限設定に)、③投資勧誘の方法の見直し(音声通話による商品説明が可能)、といった規制緩和の方針を提示。

今回の規制緩和によって、従来よりも規模の大きい資金調達や投資の機会拡大につながると期待されるが、これを契機に、株式投資型クラウドファンディングを普及させ、市場規模を拡大させていくためには、以下の3点が重要に。
① 不芳事例の排除を通じた投資家保護の徹底
今回の規制緩和によって、それを悪用した不芳事例が増えれば、株式投資型クラウドファンディング制度への信頼性が失われる恐れ。規制緩和後の利用動向や事業者の運営状況を注視・監督していくことが不可欠。

② 出口戦略としてのセカンダリー市場の育成・活性化
投資家の出口(マネタイズ手法)として、保有株式のセカンダリー市場の育成・活性化が重要に。非上場株式の取引ができる「株主コミュニティ制度」の利便性を向上させ、株式投資型クラウドファンディングとの連携を進める必要。

③ 多様なユースケースの創出 ~ 地方創生への活用
経済的便益と社会的貢献の両立を図る株式投資型クラウドファンディングでは、地方創生への活用も展望可能。同制度を活用した好事例や、地域金融機関とクラウドファンディング事業者との連携効果を積極的に発信していくことが重要。


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