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JRIレビュー Vol.1,No.112

世界経済見通し

2023年12月26日 西岡慎一


足許の世界経済は減速している。多くの国で長期金利の上昇で住宅市場が減速しているほか、根強いインフレなどを背景に財需要も低迷している。サービス分野でも、米欧を中心にリバウンド需要が一服しつつある。中国のゼロコロナ政策解除後の景気回復が早々に息切れしたことも世界景気の重石となっている。

先行きの世界経済は軟着陸を果たす見通しである。世界全体の経済成長率は、2023年の3.1%から2024年に3%を割り込んだ後、2025年には再び3%台へ回復すると予想する。当面の景気は減速傾向が続き、米欧では金融機関の慎重な融資姿勢が投資を押し下げる見込みである。2024年中には米欧中心に利下げ局面に転じるが、各国の政策金利は引き続き高水準で推移するとみる。日本では、2024年中にマイナス金利が解除されると予想する。

景気下振れのリスク要因としては、インフレの再燃が挙げられる。米欧では、労働者の賃上げ要求や最低賃金の引き上げなど、これまでの物価上昇を賃金に反映させる動きが根強く、賃金・物価スパイラルを招く恐れがある。財政拡大も物価上昇を招き、これが金利上昇を通じて財政を一段と悪化させる財政・物価スパイラルも懸念される。先進国では、経済安全保障やグリーン化などを名分に財政支出が嵩んでおり、財政悪化が意識されやすい点には注意が必要である。

中国の不動産市場の悪化も世界経済の下振れリスクとして挙げられる。中国では、不動産企業や地方政府の過剰債務が膨張している。これらの債務にはシャドーバンクを経由した取引など資金の流れが複雑で、債務調整が長期化する公算が大きい。仮に、不動産企業などの経営悪化で不良債権が増加する場合、その損失は銀行だけでなく一般投資家にも広く及び、経済や社会が大きく混乱する可能性がある。中国経済の悪化は、貿易取引を通じてアジア周辺国を中心に世界経済に広く及ぶ恐れがある。

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