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リサーチ・フォーカス No.2023-041

米国経済、トランプ再選で高インフレ・低成長も〜懸念される財政・対中・移民政策の大転換〜

2023年12月25日 栂野裕貴


米国では、2024年11月に大統領選挙が行われる。現時点の情勢を踏まえると、民主党からは現職のバイデン大統領が、共和党からは前職のトランプ氏が本選挙に進出する公算が大きい。

物価高による景況感の悪化や不法移民の増加に対する不満の高まりを受けて、バイデン大統領の再選には強い逆風が吹いている。一方、岩盤支持層を中心にトランプ氏への支持は根強く、同氏の勝利を予想する世論調査結果も多い。このため、現時点では、トランプ氏が大統領選に勝利する可能性は相応に高い。

トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、以下の通り、①財政政策、②対中政策、③移民政策の3点が大幅に変更され、米国景気に悪影響を及ぼす可能性がある。
(1)財政赤字拡大で、物価と金利が上昇
トランプ減税の延長など、拡張的な財政政策の採用が考えられる。試算によると、歳出抑制を伴わずにトランプ減税が延長される場合、財政赤字はベースラインからGDP比で1%ポイント拡大する。財政拡大は需要を刺激することで物価上昇を招くほか、タームプレミアム上昇を通じて金利を押し上げる恐れがある。

(2)対中関税引き上げで、国民負担が増大
対中関税の引き上げなど、保護主義的な通商政策に傾斜する可能性が高い。対中関税が+10%ポイント上昇する場合、物価上昇による国民の負担はGDP比で0.1~0.2%ポイント高まると試算される。ほかにも、供給網の再編で経済効率が低下する可能性や、経済政策の不透明感が高まり、株価の下落や設備投資の手控えなどが発生する可能性もある。

(3)移民排斥で、高インフレ・低成長に
移民規制の強化など、排外主義的な移民政策を採ることも予想される。試算によると、米国の潜在成長率は、不法移民の入国が全面禁止されると▲0.1%ポイント、全ての移民流入が停止されると▲0.3%ポイント低下する。供給力の天井が下がることで、米国が高インフレ・低成長の経済構造に陥るリスクがある。


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