リサーチ・アイ No.2023-068
ASEAN域内で拡大する個人の越境決済― QRコード決済に続き、P2P送金サービスの連携へ ―
2023年12月12日 熊澤知喜
本年11月、シンガポールとマレーシアは、スマートフォンを利用したリアルタイムでの個人間(P2P)送金サービスを開始。本取組は、両国の即時送金システムを接続し、送金データを送受信するとともに、あらかじめ決められた決済銀行を通じて資金決済する仕組み。送金上限額は一日当たり最大1,000シンガポールドルまたは3,000リンギ(約10万円)。
即時送金システムを接続した越境P2P送金サービスは、シンガポール・タイに続きASEAN域内では2例目(注)。従来の海外送金と比較して、①手続きが簡素(携帯番号のみで送金可等)、②決済処理スピードが迅速、③コストが低廉、といった優位性が存在。
(注)ASEAN域外ではシンガポール・インドで実施。
ASEAN域内では、このほかにもQRコードの相互利用も増加するなど、現地通貨を用いた越境決済網が拡大。決済連携拡大の背景には、ASEANでは観光や出稼ぎ労働など域内での人の移動が盛んであることに加え、足元のドル高が脱ドル依存の動きを後押し。
我が国は、2022年12月にインドネシアとQRコード決済の連携についての覚書を締結したほか、経済産業省がASEAN諸国とのQRコード決済の相互運用に係るシステム構築事業を展開。ASEANとの人の往来が回復するなか、わが国としても個人の越境決済に係る利便性向上策が重要に。
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