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リサーチ・フォーカス No.2023-037

再エネ主力電源化のカギを握る住宅用太陽光発電の普及に向けた課題

2023年11月17日 栂野裕貴


わが国政府は、電力部門の脱炭素化に向けて再生可能エネルギー(以下、再エネ)の主力電源化を目指す方針。とくに、早期に稼働できる太陽光発電を再エネ主力電源化のけん引役と位置づけ。

しかし、これまでに導入が進められた大規模太陽光発電所(メガソーラー)は適地が限られ、太陽光発電の増強に向けては、設置余地が大きな住宅への太陽光発電の導入がカギに。住宅用太陽光発電には、導入までのリードタイムの短さや送配電網の追加整備が不要といったメリットも。

ただし、住宅用太陽光発電の普及には課題も多く、政府には以下の取り組みが求められる。

(1) 初期コスト負担の軽減
家計にとって発電設備設置にかかる初期コスト負担は重く、補助金等による負担軽減が必要。具体的には、設置費用への補助金のほか、様々な財・サービスと交換可能なエコポイントの付与や設置費用の一部の所得税控除など。

(2) 故障リスクの低減
自然災害に伴う設備の故障リスクのヘッジ手段として火災保険が有効ながら、近年の災害増加等で保険料は上昇傾向。家計が保険を活用しやすいよう、政府がリスクの一部を引き受け、保険料の軽減や保険料上昇を抑制する仕組みが必要。

(3) 蓄電池の併設支援
太陽光発電の普及による好天時の電力供給抑制(出力制御)の増加を防ぐためには、蓄電池の増強が不可欠。蓄電池を併設した場合に電力の買取価格を引き上げる仕組みの導入等によって、住宅用太陽光発電への蓄電池併設を後押しすべき。

(4) 家計における認知度の向上
再エネの必要性やメリット、支援策に関する情報発信の強化や、自治体・金融機関・住宅メーカーなどと連携した情報提供を通じて、家計の関心を高めることも重要。一定条件の新築住宅に対して、太陽光発電の設置を義務化することも一案。

(5) 部材調達の強化や技術者の確保
太陽光発電や蓄電池の導入計画の明示を通じて企業に計画的な部材調達を促すとともに、生産拠点の国内誘致等を通じて供給網を強靭化。設備設置に必要な電気工事士の確保に向けて資格取得を支援し、電気工事士の待遇改善も後押し。

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