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リサーチ・アイ No.2023-055

50歳代を迎える就職氷河期世代の実像 ― 雇用環境は一定の改善も、所得は依然低迷しており資産形成に遅れ ―

2023年11月08日 下田裕介


いわゆる就職氷河期世代が来年から順次50歳代を迎えるなか、同世代の雇用、所得、資産形成の現状を整理すれば以下の通り。

まず、雇用に関して、就職氷河期世代の正規雇用比率は、足元で一部がバブル世代を上回る水準まで上昇。また、非正規雇用の理由をみても、「正規雇用がないため」とする割合が上の世代と比べて低下。2020年度から本格化した政府の支援を背景に、同世代の雇用環境は一定の改善。

一方、所得はなお厳しい状況。非正規から正規への雇用転換では収入増が期待できるものの、世代別の一般的な新卒正社員の賃金カーブをみると、就職氷河期世代の実質賃金は、上の世代と比べて足元では月6~8万円低い水準。

資産形成について、就職氷河期世代は、これまでの厳しい雇用環境と所得低迷を背景に、40歳代でも貯蓄が100万円未満の世帯の割合が上の世代と比較して多いなど不十分。同世代のシニア期の生活に備えるため、政府は、就業支援に加え、雇用延長やリスキリングなどの所得増加策、および金融教育を含む資産形成支援策にも、より力を入れて取り組む必要。


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