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リサーチ・アイ No.2023-043

低失業率でも弱まる米国の賃上げ圧力― 求人の減少、雇用のミスマッチ改善、労働供給の増加が背景 ―

2023年09月21日 栂野裕貴


米国では、失業率が低いにもかかわらず、賃金の伸びが鈍化。8月の失業率は3.8%と低位にとどまる一方、賃金上昇率(平均時給ベース)は前年比+4.3%と低下傾向が持続。背景として、以下の3点が指摘可能。

第1に、求人件数の減少。求人件数は、ピーク時にコロナ前(2019年平均)から500万件近く増加したものの、足元では増加幅が170万件程度まで縮小。

第2に、雇用のミスマッチ改善。通常、求人の減少は失業者の増加を招く傾向(ベヴァリッジ曲線)があるものの、今次局面では雇用のミスマッチも縮小することで、失業率の急騰は回避。人手不足がとくに深刻であった対面型サービス業を中心に雇用が増加したことで、産業間の労働需給の不均衡が和らいだことがミスマッチ縮小の一因。

第3に、労働供給の増加。足元の労働力人口は利上げ開始時(2022年3月)に比べて+273万人増加。生産年齢人口が同+288万人増加したことに加え、労働参加率が上昇したことが背景。

今後も企業が新規採用を手控えることで、求人率は来年前半にコロナ前の水準まで低下する見込み。一方、対面型サービス業の雇用復元によりミスマッチの改善も続くことで、失業率は4%程度への上昇にとどまると予想。移民を中心に労働供給が増加することも相まって、労働需給は緩和へ。賃金上昇率は金融政策の2%インフレ目標に整合的な3%台に落ち着く見通し。


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