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ビューポイント No.2023-007

中小企業の気候変動対応に向けて脱炭素アドバイザー制度に求められる取り組み

2023年08月17日 大嶋秀雄


近年、中小企業にも気候変動対応が求められているものの、中小企業が独力で対応するのは容易ではなく、地方銀行などに支援者としての役割が期待。もっとも、地方銀行などにおいても中小企業を支援する人材の確保やノウハウの蓄積は不十分。

環境省は、地方銀行などの人材育成を後押しするため、ガイドラインに基づいて民間資格を「環境省認定制度 脱炭素アドバイザー」として認定する仕組み(脱炭素アドバイザー制度)を導入。専門性のレベルに応じて、脱炭素シニアアドバイザー、脱炭素アドバイザーアドバンスト、脱炭素アドバイザーベーシックの3類型に分類。

脱炭素アドバイザー制度は、民間資格に政府公認の“お墨付き”を与え、専門性に応じた3類型が示されるため、民間資格の信頼性や専門性を客観的に評価可能に。地方銀行などでは本部・支店で必要な人員に応じた計画的な人材育成が進めやすくなり、中小企業にとっても、環境省認定資格の保有者は相談相手として安心感。

中小企業の気候変動対応の推進に向けて、脱炭素アドバイザーへの期待は大きいものの、課題も多い。今後求められる取り組みとしては、次の3つ。
(1)脱炭素アドバイザー制度の高度化
現状、中小企業の課題解決に必要なスキルが十分把握できておらず、政府は、必要なスキルを洗い出し、体系化すべき。そのうえで、官民が連携して資格制度を見直していく必要。デジタル関連資格のように特定分野に特化した類型の新設も一案。

(2)脱炭素アドバイザーを活用した多面的な支援体制の構築
気候変動対応は社内体制の整備から脱炭素設備等の導入、脱炭素ビジネス創出など様々な対応が必要で、脱炭素アドバイザーのみでは支援困難。地方銀行・グループ会社が持つ支援機能に加え、他の専門家や専門企業、大手企業などとも連携して、中小企業の様々な課題を解決できる多面的な支援体制の構築が重要。

(3)認知度の向上
脱炭素アドバイザーは新しい制度であることに加えて、「気候変動対応は不要」と考える中小企業も依然多く、認知度向上が不可欠。地方銀行は資格取得者を増やし、積極的に中小企業にアプローチして認知度向上と支援強化を図るべき。政府・自治体は、様々な場で周知するとともに、地域の気候変動対策等での活用を検討すべき。


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