コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

【日本総研 サステナビリティ・人的資本 情報開示状況調査(2023年度)】
グリーン・ウォッシングをどう規制すべきか? ~EUの取り組みと日本への示唆~

2023年07月20日 森口善正


気候変動や環境の持続可能性に対する社会の危機意識が高まるなか、企業の「グリーン・ウォッシング」(実態を伴わない見せかけの環境配慮)に対する監視の目はますます厳しくなっている。欧州では広告の自主規制機関が、企業の環境広告について誤認を招くとして掲示を禁止する裁定を相次いで出している。米国では連邦取引委員会(FTC)が、「環境に優しい」などと宣伝して商品を販売した小売業者に多額の制裁金を科したほか、企業広告や商品ラベルがグリーン・ウォッシングに該当するとして、消費者が集団代表訴訟を提起する動きも増加している。

こうしたなか、EU は他国に先行して事業者のグリーン・ウォッシングに対する規制強化を進めている。欧州委員会は 2022 年 3 月、不公正取引方法指令の改正案を公表し、消費者の誤認を招く「環境主張」(商品・サービス、ブランド、企業が環境により良いものであることを示す主張)に対する規制強化を提案した。2023 年 3 月には、環境主張が満たすべき最低要件を定め、要件を満たさない環境主張を禁止する「グリーン・クレーム指令案」を公表した。本指令案が発効すれば、環境主張が「実証」と「伝達」に関する要件を満たしていることを、独立した第三者が事前に検証することが求められる。また、事業者が多用する自己認証の環境ラベルも使用を禁じられることになる。

日本には、グリーン・ウォッシングに対処するための規制として、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、景品表示法)による優良誤認表示規制と、環境省の「環境表示ガイドライン」による環境主張の正しい実施方法の提示がある。もっとも、景品表示法は企業広告等には適用されず、環境表示ガイドラインもソフトローにとどまるため、現行の法規制でグリーン・ウォッシングに適切に対処していくことは難しい。

日本におけるグリーン・ウォッシング規制の方向性として、以下のステップが考えられる。
➢ 消費者庁と環境省が共同で、消費者の誤認を招く環境主張に対する景品表示法の具体的な運用基準をガイドラインとして提示すること
➢ そのうえで、規制強化で先行する EU の動きを見極めたうえで、環境主張の正しい実施方法を「環境表示法」として制定すること

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ