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JRIレビュー Vol.6,No.109

日本経済見通し

2023年07月27日 井上肇北辻宗幹


足元の日本経済は緩やかに回復している。先行きも個人消費や設備投資、インバウンド需要をけん引役に緩やかな回復が続く見通しである。人手不足感が強まるなかで、賃金と物価の上昇が定着していくと予想する。

家計部門では、コロナ禍で蓄積された過剰貯蓄や実質賃金の上昇が原資となり、個人消費の回復が続く見込みである。なかでも、飲食や宿泊などの対面型サービス需要ではリバウンドの余地がなお大きく、個人消費の回復をけん引する見通しである。

企業部門では、設備投資の回復基調が続く見通しである。これまで供給制約などで先送りされた案件が、当面の設備投資のけん引役となることが見込まれる。デジタル化、脱炭素化、省力化に向けた設備投資も増加すると予想する。

外需については、海外経済の減速を背景に財輸出は伸び悩むことが見込まれる。ただし、供給制約が緩和した自動車を中心に輸送機械の輸出増加が下支えとなり、財輸出の大幅な落ち込みは回避される。一方、インバウンド需要は年内にコロナ前の水準を上回る見通しである。訪日客数は緩やかな増加が続くと見込まれるほか、訪日客にとって日本の物価が割安になっており、滞在期間の長期化や消費単価の上昇が生じているためである。

物価面では、既往の円安・資源高に起因する輸入インフレから、賃金上昇を伴う国内インフレに移行していく見通しである。中間投入に占める人件費の割合が高いサービス分野を中心に価格が上昇すると見込む。

日本銀行は、賃上げの持続性が確認できる2024年の春闘後、基調的なインフレ率が2%に近づいていると判断し、YCC(イールドカーブ・コントロール)を撤廃すると予想する。その後も、日銀は持続的・安定的に2%の物価目標を達成したかどうかを慎重に判断し、2025年度にマイナス金利政策を解除するとみる。

人手不足下で持続的な成長を実現していくためには、労働供給の確保と労働生産性の向上が急務である。労働供給の確保には、①就労を促進する制度改革による就業時間延長や、②在留資格・制度の改革や待遇改善による外国人労働者の受け入れ拡大が主な課題である。生産性の向上には、中小企業のDX支援や労働移動の活発化、官民双方での「人への投資」拡大などが求められる。

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