コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2023-029

2023年の米国ストレステストの概要と今後の課題 ~ 高金利継続時の米金融システムのリスクには引き続き留意が必要 ~

2023年07月27日 内村 佳奈子


本年6月28日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、大手23行を対象に実施したストレステストの結果を公表。今回のテストの想定は、今後2年間で実質GDPが最大31%減、失業率がピーク時に10%まで上昇、不動産価格が22年末対比で約4割下落するシナリオ。

テスト結果は、上記シナリオの下、対象行全体で5,410億ドルの損失が発生。内訳は、消費者ローン1,550億ドル、商工業向け990億ドル、不動産関連1,060億ドル。これにより、普通株式等Tier1比率が22年末の12.4%から最大で10.1%まで低下するものの、規制上の最低基準(4.5%)をクリア。個別行ベースでも全行がFRBの要求水準を充足。

もっとも、今回のストレステストでは、経済危機時の大手行の頑健性を確認したものの、現下の米金融システムに問題なしとは必ずしも言えない点に留意が必要。理由は以下の2点。
-第1に、今回のテストは、景気悪化に伴う金利低下を想定しており、金利高騰によるリスクは検証の対象外。実際、売却可能証券の含み損益が自己資本に反映される主要9行では、金利低下を受けた保有債券の価格上昇により、自己資本比率を0.5%程度押し上げ。
-第2に、懸念する声が多い商業用不動産向け融資について、テスト対象行のシェアは全体の2割程度にとどまっており、融資の大部分を占める中堅・中小銀行は検証の対象外。

米国ではインフレ率が高止まりし、利上げの継続が有力視される状況。そのため、高金利が継続する場合における米国の金融システムの健全性や実体経済への影響についても注意が必要。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ