IMF は去る 3 月末に公表した 2023 年の「対日 4 条協議報告書」において、“ソブリン・リスク”という表現を初めて用い、財政運営の持続可能性への警告を発した。
わが国の政府債務の持続可能性分析において IMF は、①政府債務残高の対 GDP 比率と、②グロス所要資金調達額という“機械的なシグナル(mechanical signal)”では危険性が高い半面、国内の投資家層の厚み等を背景に、全体的な評価としては危険性のレベルは中程度(moderate)、という判断を示している。
もっとも、財政運営の持続可能性の鍵を握る金利と成長率の格差について IMF は、この先、勤労世代の減少が潜在成長率向上の足かせとなるため、より不利なものになり、政府債務の GDP 比率は上昇傾向をたどると予測している。金利が突然急上昇し、わが国が国債のデフォルトには至らずとも、急激な財政緊縮を迫られる“ソブリン・ストレス”状態に陥ることがあり得る、と警告している。