コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2023-019

新築住宅への太陽光パネル設置義務化に期待される効果と課題

2023年06月09日 栂野裕貴


わが国政府は、再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化に向けて、2030年度までに電源に占める太陽光発電の割合を14~16%とする計画。そのためには、太陽光発電容量を100GW超(直近の1.5倍)に増やす必要があるものの、足元では、大規模発電施設(いわゆるメガソーラー)の新設が立地制約等で難しくなっており、中小規模の発電施設の増強が急務。

こうしたなか、住宅への太陽光パネル(PV)設置に注目が高まる。近年、住宅のPV設置率は低下しており(PV新設数<住宅増加数)、導入余地はむしろ拡大。実際、東京都は新築戸建住宅へのPV設置義務化を決定。簡易試算では、全国の新築戸建住宅へのPV設置義務化によって、2030年度までにわが国の太陽光発電容量を2割増強可能であり、住宅へのPV設置義務化は、再エネ拡大に向けた重要な施策となりうる。

もっとも、PV設置には大きな初期コストがかかる一方、コストの回収には10年以上の長い期間を要するため、家計への負担大。また、故障等で発電不能となるリスクも存在。加えて、太陽光発電量は日照条件等で大きく変動。太陽光発電の導入で先行する九州などでは、太陽光発電量が増える4~5月を中心に発電量を意図的に抑える出力抑制が頻発。

したがって、住宅へのPV設置義務化では、①PV設置への補助金や②PV向けローンの所得税控除、③災害等による損害への公的保証で家計の負担・リスクを軽減するとともに、④蓄電池併設への補助金や⑤大口需要家でのディマンドリスポンス強化で電力需給安定を図ることが重要。また、家計の負担・リスク軽減は、既存住宅へのPV設置を後押しする効果も。こうした取り組みで住宅へのPV設置が進み、わが国の再エネ主力電源化につながることを期待。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ